13. 5,000mからのダウンヒルのはずが…
1994年9月6日 ラルン峠手前(4865m)→ラルン峠(5050m)ニャラム(3830m) 晴れ/ホテル泊
5,000mからのダウンヒルのはずが…
ラルン峠(5050m)を越えると、ここから距離約120km、標高差5,000mのダウンヒルがはじまる。こんなスケールの大きな下りは、日本国内では体験したことがない。
砂漠のような山々の狭間に見え隠れする、真っ白な氷河で覆われた山々は、そのアンバランスさ故か、一種神秘的なものを感じさせる。
ところで、僕らが走っているこの地面は、数億年以上昔は何処にあったのだろうか。走りながら、ふとそんなことを考えてしまう。というのも、7千年もの昔、アフリカ・プレートを離れたインド・プレートが、アジア・プレートの端である今のチベットあたりにぶつかり、それからはどんどとアジア・プレートを持ち上げ、今のチベット高原ができあがったのだという。それにともない、このヒマラヤ山系が形成されたようだ。今もなお、インド・プレートはアジア・プレートの下に潜り込み続けており、エベレスト山も毎年に1センチぐらいづつ高くなっているという説もある。
こんな事を考えながらも、3人はどんどんと高度を下げてゆく。1時間ほど前からだろうか、吹きだした向かい風は高度を下げるにともなって、どんどんと強くなり、下る僕らを空の方に押し戻そうとする。
目の前の景色は、どんどんと谷底に向かって下っているはずなのだが、登りのようにしか感じなくなっている。
全身の力を振り絞ってペダルを踏まなければ、全くと言っていいほど前に進まないのだ。何度も休憩しながら数時間走り続け、気が付くと、川沿いの緩やかな道に出ていた。風も穏やかになり、先に集落が見えてきた。ネパールとの国境の町ニャラムだ。
ディスコ”夜沙”
ニャラムという、標高3,750mの山の奥深いところにも、ディスコが存在した。
「世界一高い所にあるディスコ」ではないだろうか。
真夜中に出かけてみたが、怪しい!?ディスコ・ミュージックがかかっており、照明は日本のひなびたディスコとあまり変わりはない。客は中国の漢族がほとんどで、皆普段着で気軽に踊っている。
中には中学生位のかわいらしい少女がいて、心配して探しに来たのか、入り口から呼んでいる母さんに気づき、逃げまどっていたのが印象的だ。
他に飯店が3軒にホテルが2軒、銀行・郵便局・書店・飲み屋・ビリヤード屋・駄菓子屋等が一軒ずつある。
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