2.出発前日

1994年8月20日 ラサ滞在(3658m) 晴れ/ホテル泊

亜旅館(ヤク・ホテル)

 ラサでの宿は、亜旅館(ヤク・ホテル)という、世界各国のバック・パッカー御用達のホテルだ。ドミトリーで一泊20から30元(1元=約12円/1994年当時)と安く、トイレやシャワーは共同だが、居心地はすこぶる良い。

 中庭では、暖かい太陽の下で日向ぼっこをするのも良し、相棒とこれからの行動について話し合うも良し。これから向かう未知の土地の情報は、同じようにそばでのんびりとしている人たちに尋ねるのが一番だ。どのバック・パッカーも、自分が行ったことがある所なら、詳しく教えてくれる。

「あの食堂のトゥクパは、安くてうまい。」
「あそこからここまでは、いくら掛かった。」
「あのホテルは、汚ねーし、なんきん虫に噛まれるし、ひでーとこだ。」
「ポタラ宮の入り口では、中国人のそぶりでチケットを買うと、1元で買える。本当は40元だけど…。」

等々、様々な情報が入って来る。日本を発つ前に、いくら調べても分からないことや、時が経つにつれて陳腐化してしまうような情報は、このような機会を見つけて収集することが可能だ。

買い物は八角街で

 ここから先、目的地のカトマンズまでは、ラサの様に大規模な町はほとんどないとの情報を得ていたので、出発を明日に控え、今日は買い出しに専念することになった。

 ヤク・ホテルから歩いて数分の「八角街」には、シャツ・帽子などの衣料品や日曜雑貨類、あるいは土産物に至るまで、ありとあらゆるものがそろっている。もちろん種類は少なく選択の余地があまりないが、チベットで生活する限り、十分であるように思える。

 ツーリング中の食品類の買い出しは、八角街付近の市場で済ますことにした。市場には様々な種類の野菜や果物、缶詰、チョコーレート、スナック等々所狭しと並んでおり、皆一様に品定めや値段交渉に余念がない。僕らも負けじと店の主人と値段交渉に励む。

 建物全体は日本の一昔前の「百貨店」とゆう言葉がぴったりで、一階は食料品、二階は衣料品や電気製品が置いてある。衣料品の中では、やはりチベットでもスーツが流行の最先端の様で、少々高い値が付いている。

 この日、買い出した食料品はざっと次のようなものだ。

  • インスタント・ラーメン
  • 乾麺(うどんのような麺の束)
  • チョコレート(スティックタイプのもの2ダース)
  • ドライフルーツ(干しぶどうやナッツ類)
  • 猪肉缶詰(豚肉の缶詰と思われる…)
  • 761(中国人民軍!?御用達の圧縮ビスケット)
  • スキムミルク
  • パイナップルジュースの粉
  • 飴(のどの乾燥対策!?)
  • ピーマン等
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